地下鉄始発駅に住む

虎穴

先日朝霞に仕事で行った時、昼にちっちゃいラーメン屋に入った。
店名は無く、暖簾に「ラーメン」とだけある。
店の中はがらんとしていて、そして暗い。およそまともに営業している雰囲気ではないよ。
ああ、やっちまったか。久々にやっちまったのか。
諦めてメニューを探すが、黒板がひとつのみ。
メニューもひとつ。「ラーメン」のみ。
何ここ?先客は2人いたので、よっぽどの事にはならないと思うけど、ドキドキして落ち着きません。
とりあえず座って店内を見渡す。
前の店舗の内装そのままに会議室用のテーブルを三つおいて、丸いパイプ椅子を並べただけ。壁を抜いたカウンター越しに厨房が何となく見えるけれど、一人でやっているであろう店主の手元まで見えないので、どんな物作ってるか全くわかりません。
うわぁ、ドキドキを通り越してワクワクしてきたぞ。いったいどんな目に合わされるんだろう?
暖房が入っていない薄ら寒くて薄暗い店内。思わず背筋を伸ばして腕組み。これから起こる事に対処できるよう、心を落ち着けるのだ。
程なく、人当たりの良い店主がラーメンを運んできた。
ん?東京の中華そばとは違うのね。麺は平打ちの幅広いヤツ。食感も含め生パスタみたい。スープは少な目の濃い目。油そば寄りだ。
コレは今まで食べた事にないコンビネーションだなあ。美味しいけれど万人受けしない気がする。それともこれが今の主流で、外れたのは自分の方か?
もう自分はメインストリームの中にはいないのかしら?
理由は初老になったせいなの?
見えない何かと葛藤しながら、濃い目のラーメンを食べきる。くそう、今度は店内が寒くないときに来てやる。